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米国ジョージア州の規制緩和されたガス市場では、ガスそのものの品質で他社と差をつけることはできません。価格が業界で最も大きな訴求軸となるなか、SCANA Energyには、それ以上の価値を伝えるブランド体験が必要でした。そこで私たちは、同社のサービスの強みを明確な差別化要因へと変え、エネルギーが実際に感じられる場所、つまり「家庭」を中心に、より温かみのあるブランドアイデンティティを築きました。
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THE STORY

同じガス。違いを生むのは、価格だけ。

 1990年代後半、ジョージア州ではガス市場が自由化され、一本のパイプラインを複数の事業者が利用するようになりました。ガスは同じ。届ける仕組みも同じ。違うのは価格だけです。顧客はブランドとのつながりではなく、数字を比べるようになっていました。

 SCANA Energyも、他社と同じ課題に直面していました。商品そのものに差をつけにくいなかで、どうすれば選ばれるブランドになれるのか。答えは、無理に違いをつくり出すことではありませんでした。顧客がすでに感じていた価値を軸に、ブランドを築くことだったのです。


本当の強みを、ブランドの力に

 ブランド分析を通じて、私たちは目の前にありながら見過ごされていた機会を見つけました。顧客の目を最初に引くのは価格ですが、心に残る印象を左右するのはカスタマーサービスでした。顧客はこの業界を、複雑で不透明、信頼しにくいと感じていました。一方、SCANA Energyは、サービスに対する評価で競合他社を一貫して上回っていたのです。

 これは後からつくり出せる主張ではありません。すでに存在していた事実です。ただ、その価値が十分に評価されていませんでした。そこで私たちは、商品そのものの魅力を語るのではなく、ブランドが果たすべき役割を見直しました。


心まで温めるブランドへ

 私たちが掲げた戦略は、「家を温めるガスと、心を温めるサービス」。シンプルで、人の心に響き、実際のサービスにも根ざした考え方です。この戦略によってSCANA Energyは、単なるガス会社から、家を温めるだけでなく、暖房を使うことにまつわる体験すべてをより良くする、より人間味のある存在へと変わりました。

 エネルギーがあるのは、パイプラインの中だけではありません。帰りの遅い誰かのためにつけておく明かり。コンロで温めておく夕食。冬の冷え込んだ朝、家がようやく暖まっていくひととき。エネルギーは、そんな暮らしの中にあります。

 サービスが感情に訴える差別化要因なら、それを体現するシンボルが必要です。そこで、ひとつの問いが生まれました。それは、どんな温かさなのだろう?



家が教えてくれる真実

 多くのリブランディングは、「何をなくすか」という問いから始まります。真っ先に候補に挙がるのは、たいていマスコットです。本格的な企業ブランドを目指すうえでは、「かわいすぎる」「古くさい」「漫画っぽい」と見なされがちだからです。

 しかし、私たちは逆の問いを投げかけました。SCANA Energyのクマたちは、ジョージア州で最も認知度が高く、際立ったブランド資産のひとつであり、多くの人に心から愛されていました。ブランド資産の調査結果もそれを裏付けていましたが、データが示す前から、その事実は明らかでした。顧客はリンダ、ハリー、そして子グマたちを、ただ見覚えがあるだけではありません。よく知る存在として受け止めていたのです。

 そして、彼らが表していたのは親しみやすさだけではありません。家を暖かく保つことを語るうえで、クマほどふさわしいシンボルはなかなかありません。断熱が産業として確立されるずっと前から、クマは保温性の高い巣穴を選び、暖かさを保ち、蓄えたエネルギーで冬を越してきました。SCANA Energyが解決しようとしている課題に、自然はすでに答えを出していたのです。

 戦略が探していたのは、家を暖かく保つエキスパートでした。SCANA Energyには、その家族がすでにいました。そこで私たちはクマたちを引退させるのではなく、ブランドの中でより大きな役割を担わせました。「Big Bear Energy」は、ブランド戦略全体を表現するクリエイティブコンセプトとなりました。リンダ、ハリー、そして子グマたちは、単なるキャラクターではなく、「温もり」「保護」「家」を象徴する存在になったのです。

私たちはクマたちを卒業したのではありません。クマたちの世界に、私たちが引っ越したのです。



ブランドの隅々に、クマの存在を

 クマたちは、より温かく、表情豊かで、家になじむ存在へと変わりました。温もりを生み出す彼らの本能は、ブランド体験全体を形づくる中心的な考え方になりました。「家」は、もはや単なる舞台ではありません。ブランド全体を形づくる仕組みになったのです。

 そして、クマたちの存在をブランドのあらゆる要素に広げていきました。イラストだけでなく、SCANA Energyの見た目や声、顧客との接し方にも反映しています。居心地のよいインテリアや地域らしさから、社内のフォント制作部門が手がけたオリジナルのロゴタイプや書体に至るまで、ブランド全体にクマたちの足跡が刻まれています。

 丸みを帯びたフォルムには、耳や肉球、柔らかなシルエットをさりげなく取り入れつつ、漫画的な表現にはなりすぎないようにしました。そうすることで、SCANA Energyに柔らかな自信をもたらし、同業他社には簡単にまねできない独自の基盤を築いています。

 新しいカラーパレットでは、これまで親しまれてきたブルーを進化させ、炎を思わせる色合いを加えました。温かく、落ち着きがあり、人を惹きつけるカラーです。また、言葉づかいにも同じ精神を反映しました。どの接点でも、明快で親切、そして控えめな遊び心を添えて語りかけることで、複雑な業界を、顧客が自信を持って選べるものへと変えていきます。

 すべての要素が、これまで以上に力を発揮しています。ひとつひとつに、同じ本能が息づいているからです。

Big Bear Energy。ブランドシステムに組み込まれた、温もりを生み出す力。


記憶に残るブランドへ

 新しいブランドアイデンティティは、デジタルプラットフォームや請求書から、顧客とのコミュニケーション、社内でのブランド浸透活動に至るまで、主要な接点すべてに展開されました。顧客がどこでブランドと出会っても、より際立った、一貫性のある体験が生まれています。

 商品そのものではほとんど差をつけられないこの業界で、SCANA Energyは今、競合他社が簡単にはまねできないものを手にしています。

違うガスではない。違うのは、感じられる価値です。


暮らしに根づく、新しいブランド

 2026年7月29日に発表された新しいブランドは、今、人々の暮らしに根づき始めています。リンダ、ハリー、そして子グマたちは、ブランド体験のあらゆる場面を導く存在となりました。強いブランドをつくるために、必ずしも新しいシンボルを探す必要はありません。ふさわしいシンボルを見つけ、その周りに世界を築けばよいのです。