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タージ・グループ

変わりゆくインドに対応する3つの新ブランド

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市場におけるチャンス

インドのホスピタリティ市場は、激動の時代を迎えていました。中流層の爆発的な成長に加え、国内外から訪れるビジネスや観光目的の旅行者が急増。野心的な国際ホテルブランドが続々と進出してきていました。タタ・グループが所有するタージ・ホテルズ・リゾーツ&パレス(THRP)は、インドで最も有名な高級ホテルブランドですが、参入すべき新しい市場セグメントの存在に気づきました。

  • 2025年までにインドの人口の41%が中流層になると予測
  • • 2025年までに国内の富裕層は2,400万人に達すると予測

ブランドの混乱

タージ・ブランドは時流に乗った成長を長年続けた結果、ブランド力が薄まっていました。ポートフォリオ内のホテルは、2つ星から5つ星に至るまで、すべてタージ・ブランドで展開。競争が激化する中、タージの「寄せ集め」のようなブランドは顧客の認識を混乱させていました。

エモーショナルな訴求力の欠如

BrandAsset Valuator(BAV)のデータと、フォーカスグループ調査の結果から明らかになったのは、タージ・ブランドは高級なステータスを維持してはいるものの、最上級ブランドに欠かせないエモーショナルな訴求力を失いつつあるということでした。

インドは、国際的に「温かい歓迎」や「素早い対応」といったイメージを持たれていませんでした。この2つは、ホテルブランドにとってロイヤリティの最重要なキーです。

「温かい歓迎」や「素早い対応」を受けられるブランドという認知を築けば、タージは旅行者の愛情を取り戻し、インドのマイナスイメージを和らげることができると考えられました。

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戦略ロードマップ

インサイトに基づき、ランドーは6つの戦略的原則を導き出しました。:

  1. 単一ブランド構造から、「太陽と惑星」モデルに移行する。
  2. 「タージ」ブランドは高級セグメントに限定する。
  3. その他の有望な市場セグメントには、別のブランドを開発する。
  4. 「タージ」という名の使用は慎重に管理し、制限する。
  5. 高級ブランドと企業体を区別する。
  6. 企業体は「タージ・グループ」と名づける。

ブランドのポートフォリオを拡張

タージのブランドアーキテクチャとして、ランドーは「太陽と惑星」モデルを推奨しました。これは「ブランデッド・ハウス」モデルと「ハウス・オブ・ブランズ」モデルの中間に位置します。中心に「太陽」である「タージ」を起き、最高級ブランドとしてのポジショニングを維持。新しい2つのブランドは「タージ・グループ」の傘下に置き、1つはタージの名を冠したフルサービスの上級ブランド「ヴィヴァンタ・バイ・タージ」、もう1つは中流市場向けのビジネスホテルブランド「ザ・ゲートウェイ・ホテル」に。3つ目の新ブランド「ジンジャー」は、2つ星のエコノミーホテルとして、「タージ」とは切り離した別の子会社としました。

「タージ」という名の使用を制限

ランドーは、タージが「タージ・グループ」(企業ブランド)と「タージ HRP」(高級ホテルブランド)を、視覚的にも言葉の上でも区別することを推奨。「タージ・グループ」のアイデンティティを制作した後、「タージ・エア」といった新しい施設やサービスのネーミングにおいて「タージ」の使用を制限するための、判断システムを開発しました。

顧客層に合わせたブランド展開

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新たなラグジュアリー

「タージ」ブランドをポートフォリオ内の最高級ホテルに限定したことにより、ランドーは宿泊客のラグジュアリー体験を高める方法を見出し、独自のキーとなる要素を定めました。「dvaar paalaka」という伝統的な挨拶、Taj Turndownメニュー、Royal Shoeshine、Fond Farewellなどが挙げられます。

「歓迎のdurbaansは外国人旅行者に期待を抱かせる。宿泊客は回転ドアを通るとき、ただホテルに足を踏み入れるのではない。今まさにインド体験が始まろうとしているのだ。」

Divia Thani Daswani 「コンデナスト・トラベラー・インド」誌 編集者
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上級客向けの「ヴィヴァンタ・バイ・タージ」

「ヴィヴァンタ・バイ・タージ」は新興のハイエンドセグメントを取り込むべくデザインされました。年齢が若く、コスモポリタンなこの旅行者層は、新しく、現代的で、テクノロジーを活用した体験を求めています。

ランドーは、このスタイリッシュでスマートなホテルのネーミング、アイデンティティ、ポジショニング、カスタマージャーニー、ルック&フィールを手がけました。アメニティとして、空港への送迎、心地いい音楽、マッサージチェアを用意しました。STRレポートおよびギャラップ調査によれば、「ヴィヴァンタ」は一日あたり販売可能客室数あたり客室売上、およびカスタマーエンゲージメントが競合中で最高と評価されています。

「コンデナスト・トラベラー」誌は「ヴィヴァンタ・バイ・タージ」を世界3位のホテルブランドに選出しました。

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中級客向けの「ザ・ゲートウェイ・ホテル」

インドの著しい成長は、数多くの国内ビジネス旅行者を生み出しました。タージ・グループはこのセグメントに対応し、ポートフォリオの隙間を埋めるため、3つ星の国内ブランド「ザ・ゲートウェイ・ホテル」を創設しました。同じ企業体の傘下ですが、このホテルはタージのラグジュアリーなポジショニングやアイデンティティとは分離され、タージの名を使いません。

「ザ・ゲートウェイ・ホテル」のブランド・アイデア「Welcome perfection」(完璧さを喜びに)は、ホテルのプロミスを簡潔に表現。クリーンですっきりとしたアイデンティティシステムは、現代的な雰囲気とトラブル知らずのサービスというメッセージを伝えています。

ニールセン調査によると、「ゲートウェイ」はスタートからわずか1年でインドで第3位のブランドになりました。

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低予算旅行客向けの「ジンジャー」

2つ星のエコノミー・ブランド「ジンジャー」は、インドの第2、第3レベルの都市をターゲットにしています。このような都市のホテルは秩序に欠け、安心して眠れません。タージの名を低価格帯チェーンと結び付けられないようにするため、ジンジャーはタージ・グループの外で別会社として運営されています。

シンプルで実用的なホテルであると分かる名前とビジュアル・アイデンティティによって、インドらしさと国際性の中間でバランスを取っています。このバランスこそ、多くのインドのブランドが目指しているものです。このホテルチェーンはランドリーやジムに加えて、ビジネスセンターを備え、多様なニーズに応えています。

「South Asian Travel Tourism Expo」(南アジア観光業博覧会)は、ジンジャーをインド最高の低価格ホテルチェーンに挙げました。

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従業員のエンゲージメント

新しいブランド・アーキテクチャを従業員に理解してもらう上で、経営陣は困難に直面しました。彼らの多くはタージ・ブランドで働くことに誇りを感じていたからです。ブランディング・チームは、公式にローンチする前に、まずすべてのステークホルダー・グループに新しい戦略に対する信頼感を浸透させるため、丹念に保証を行いました。ランドーはブランドスピリット・ブックと20分のブランド・フィルムを制作し、従業員の新体制への移行をサポートしました。

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見事な成功

新体制は、見事に社内で受け入れられ、タージの親会社IHCLは、このほど「Gallup Great Workplace」に選ばれました。新しいブランド・アーキテクチャ戦略が成功したことを受け、同社は国際的な拡大を新たにコミットして、今後5年間でホテル数を倍増させることを目指しています。

タージは、クレディ・スイスにより「Great Brands of Tomorrow」に選ばれました。これは今後3年から5年の間に市場で著しい業績を上げると期待されるブランドを選出するもので、選ばれたブランドはわずか27です。