ストーリーテリング、8つの原則

ストーリーテリングは魔法のような強い力で人の心をがっちりと掴みます。私たちを楽しませ、私たちの心に触れて、住む世界を明るく照らす。それがストーリーの持つ力です。

説得力のあるブランドストーリーを巧みに作り上げることができれば、理想的な形で、情報の発信、視聴者との交流、ブランドへの忠誠心の醸成などが可能になります。これから述べる8つの原則を適用して、人々がそのブランドを記憶し、愛着さえ持つようなストーリーを作ってください。

1 継続的なブランドストーリー

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結論に向かってストレートに書かれたような本とは違い、多くのチャネルを通して伝えられます。地下鉄のビルボードやフェイスブックの投稿メッセージ、テレビのコマーシャル。どこでブランドのストーリーに出会っても、人々がそのストーリーの流れに入り込み、そのブランドを体験できるようにします。

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ナイキのブランドストーリーの核となるのがパフォーマンス。ツイッターのユーザーストリームやトレーニングガイド、ナイキが後援するスポーツイベントなどで、自己ベストを達成するために努力するアスリートの姿を日々見ることができます。画面にナイキのスウッシュが映し出されるたびに「Just do it」というささやきが聞こえます。

2 言葉以上のものを伝えるストーリー

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優れたストーリーテリングは、言葉だけでなく視覚も使って直感的に心に響きます。画像と色彩、シンボルと音、触感と香り。そういった要素のすべてが、複合的に組み合わさり、感覚レベルでブランドストーリーを伝えます。

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ちらっと見える赤い靴底、それこそがルブタンの靴の特徴です。高級で高価、セクシーでアンタッチャブルな魅力を伝えるのに言葉は必要ありません。

3 的を絞って明確に

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人々は毎日大量の情報のインプットに悩まされています。画面上で人の目に留まってからわずか3秒間で言いたいことを伝えなければならないかもしれません。明確かつ簡潔に、最大限の効果を発揮するため、一度に一つのメッセージに絞りましょう。

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アブソルートウォッカの広告が30年以上もの間、変わらずに掲げてきたもの、それはブランド名と象徴的なボトル、そして厳選された一言という必要最低限の要素のみ。余計なものを取り除いたシンプルなエピソードは必ず人を惹きつけます。あるプロモーションでは、種々に異なるデザインを施した400万本のボトルを使った広告を展開しました。それがアブソルートユニークというコンセプトです。

4 トーンがマーケット獲得のカギ

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業界用語や誇大広告は忘れましょう。ブランドの本質に入り込み、そこから言葉を発しましょう。ブランドのトーンを明確にし、それを忠実に再現することで、発したメッセージが忘れられないものとなります。

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オールドスパイスは2010年の「Smell Like a Man, Man」キャンペーンで人気を博しました。非常にセクシーな男性モデルが不躾で皮肉交じりのセリフを発し、男性のみだしなみを面白おかしく取り上げたのでした。当時、人々はこの広告を見て笑い、話題にし、まねをしただけでなく、もう一回オールドスパイスを使ってみたのです。

5 根強い同族への忠義心

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私たちは皆、家族や社会、チームに属したいと思っています。戦略的なブランドは、人々がより大きなストーリーへ参加するように仕向け、共通のアイデンティティーを与えることよって、「コミュニティーに所属したい」という万人が持つ欲望をうまく活用しています。

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アップルは「I’m a Mac, I’m a PC」という巧みな広告シリーズを展開して、他製品やサービスに比べてアップルユーザーのパーソナリティーを強調することに力を入れました。本シリーズのコメディタッチのスポット広告では、小道具や視覚的ギャグ、著名なゲストなどを使って長々と自己アピールが展開され、それまでアップルを持っていなかった人もうまくまるめこまれてマック族になりました。

6 エモーションに基づくストーリー

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感情が人を動かします。人々の喜怒哀楽を扱うのにストーリーテリングは最適のツールです。ストーリーテリングの力を使って、消費者が関心を持つようなブランドを作りましょう。消費者が求め、好きになり、その理念を大事にするようなブランドを構築しましょう。

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プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)のオリンピックキャンペーン「Thank you, Mom」では、感情的なつながりを明確に表現しました。何気ない朝の日常生活から氷点下の駐車場まで、長年にわたる母の献身的愛情がわずか30秒間に詰め込まれていました。この30秒間のCMに多くの親たちが心を奪われ、P&Gを使い続けることを誓いました。

7 ブランドは脇役

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ブランドがストーリーの主役になることはありません。経験豊富なブランドはこのことを把握していて、本来の主役である消費者からスポットライトを奪うことはありません。

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がっしりしたドクターマーチンの靴は、1960年に発表されるとすぐに色々な人たちが愛用するようになりました。専業主婦はドクターマーチンの快適さと耐久性を気に入り、パンクロッカーは厳格な階級制度への抗議の印としてドクターマーチンを履きました。その多様な歴史を通して、ドクターマーチンというブランドは静かに脇役に徹し続けてきました。現在でも、ドクターマーチンの靴紐を結ぶと、社会に対する反逆者になったように感じます。

8 顧客自らがストーリーを書く

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ソーシャルメディアは、ブランドというゲームを10年前には想像もできなかったような形に変えました。現在の消費者は広範囲に自分の声を届けるツールを持っていて、彼らの率直な意見は多大な影響力を持っています。ブランドストーリーに参加するために、消費者自ら声を発するように仕向けましょう。そこから新しいストーリーが展開するかもしれません。

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パタゴニアのウェブサイトで出会う最も重要な人達は、会社の創設者でも経営陣でもありません。ブランドのアンバサダーたちです。つまり、登山者や釣り人、スキーヤー、サーファーなど、パタゴニアのアウトドア用品を改良するため、デザイン部門との共同作業に継続的に参加しているのグループです。パタゴニアのストーリーは、これらの冒険者たちのストーリーでもあるのです。

寄稿:ジェイソン・バイス、ニック・フォーリー、トレヴァー・ウェイド

Images used with permission from Christian Louboutin, Absolut, P&G, and Dr. Martens.
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